先日、卒園式着物シリーズでお世話になっている着物屋さんでとあるイベントがあり、遊びに行かせていただきました。
イベント自体はわりとこう、さっと終わり、そこから店員さんたちの「よかったらお着物見ていって〜」の声に吸い込まれるように気づけば店内奥側へと誘われ・・・。
あれ、え、わたしなんかが見ていいんですか?
えっと、絶対に買えませんけど、いいんでしょうか?
なんてことは、言えない雰囲気なわけです。

見るだけなんて、迷惑かも・・・
でもね、ここでふと思ったんですけど、なんていうか
普通に生活していたら、基本的に着物屋さんって場所に縁は無いんですよね。
そもそも着物自体に縁があまり無くて、つまり呉服屋さんの商品をまじまじと見せていただくチャンスなんて滅多に無いんですよ。
お店にあがって反物や帯を見せていただく。
それってすごい勉強になるし、ていうかめっちゃ興味ある!見てみたい!
ということで図々しく、厚かましく、お着物と帯を見せていただいたらめちゃくちゃ素敵な出会いがあった、というお話です。
油滴天目柄のお着物
「よかったらなにか合わせて遊んでみる?」という店員さんのススメで思いがけず真新しい反物を合わせられることになったのですが・・・「どんな感じがお好き?」と聞かれてはたと困った。
なにも答えられないんですよね。

まずそこから!
洋服だったらある程度はね、経験でね、赤系より深い青のほうが好きとか小花柄は似合わないんですとか言えるんですけど、これが和服になると途端に自分はなにが好きなのかがわからないんです。
淡い感じがいい?濃い色のほうが似合うかしら?どんな柄が好き?
いろいろと質問を受け、しどろもどろ・・・何を聞かれてものらりくらり♪とか言うてる場合じゃありません。
わからないんです。
たくさんの反物を前にして、自分がなにが好きかもわからない。
着物の渋さ可愛らしさも、その塩梅がわからない。
これ!って選んだものがもし間違えていたら「こんな渋いの選んで・・・見る目無いわね」とかって「センス無し子」の烙印を押されそうで怖いし。(なにをもって”間違い”なのかもわからないですけど。)
まだまだ、自分の好きを貫く!なんて段階でもないんですよねわたしの場合。
いや〜・・・ははは・・とうやむやな返事しかできず、まあでも、それではいけないと思いとにかく目の前にあったやや濃い目のひとつを「これとか・・・」とやっとの思いで選択。
「濃い目のお色が似合うと思いますよ」と店員さんが優しく言いながら広げてくれたその反物にはなんと「油滴天目」と書かれていました。
油滴天目!?

わたし知ってる!この前みたよ!
いきなりテンションぶち上げ。
だって、先日行った美術館で見た国宝がまさに「油滴天目茶碗」だったのです。
そのときのブログがこちらです。
ていうかそうじゃん!
よく見たら、この柄ってまさに油滴天目じゃん!と内心興奮しまくりのわたし。
油滴天目茶碗って、めちゃくちゃきれいなんですよ。
「油滴」って水面に油を垂らしたような模様のことを言うんですけど、それがね、黒釉の深い色の中に銀色の油滴が散りばめられている、宇宙空間のような美しさなんです。

ということで、もう絶対これにする!とこちらを合わせていただきました。

えーーーーもーーーー
美しい・・・。
濃紺の布地に油滴模様が散りばめられていて、「静謐の美」というのでしょうか、静けさの中にひっそりとした、でも力強い輝きが表現されていて・・・。
そうか、着物の柄って、そんなのもあるんだ。
もうこんなの、これを着て美術館に行きたいしかないじゃないですか。
これを着て国宝に会いにいくしか無いじゃないですか。
ほ・ほ・欲しい(おっとウッカリ)。
安心してください。買えません。
でもでも、これはかなり夢が広がりました。
ていうか、こんなことってあるんだ!
つい先日見たものに縁(ゆかり)のある模様に出会うなんて・・・奇跡?
「ふふ こっちの世界はこういうことばっかり起こるのよ」by銀太郎さん
押し花が散りばめられた帯
そんな油滴天目の着物に合わせていただいた帯は、可愛らしい桜柄の名古屋帯です。

これね、柄が絵じゃなくて「押し花」なんですって。
押し花。本物の押し花。

すごくない!?
あのね、近くでいろいろ見せていただいたんですけど、めちゃくちゃ可愛かったです。
紫陽花、菜の花、あとなんだっけ、紫色のお花とか・・・。
いやこれね、わたしなんぞがとても手の出せるお値段ではなく、「どうぞ触ってみて」と言われても手の油が気になって気になって、ましてや冷やかしのように写真を撮るわけにもいかず、結果ちょっと記憶が曖昧なんですけど・・・。
帯って大奥とかに出てくるような豪奢なものしかイメージが無かったので、こんな遊び心のある帯もあるんだとこれまた新鮮で見ていて楽しかったです。
それでね、撮ってもらった写真を見ていたら、帯に”伝統工芸士 白井功”と書かれていたので「誰?」と思い調べてみました。
伝統工芸士とは経済産業大臣指定伝統工芸品の伝統的技術・技法を有している方の称号。
日本の伝統的な技術や技法を受け継ぎ高い技能をもって製作にあたる職人のことで、国が指定する伝統的工芸品の産地において一定年数以上の経験と優れた技術を有する者が認定されます。
伝統的工芸品の製造に従事する作り手のうち一割ほどの限られた存在で、全国で約3,300名(2025年2月時点)しかいらっしゃらないらしいです。

すごい人だった!
白井功氏は京都西陣の帯職人として伝統工芸士の認定を受けておられるそうで、ネットを見ているとこんなページが出てきました。

なにこれかわいい〜〜〜〜!!
ていうかこれ京セラ美術館じゃん。
これもこの前行ったんだけど!?こんなのあるなんて見落としてたわ。
そらね、そんなすごい人が作った帯、しかも一本一本手作りで、押し花のお花も自社で作られているらしいんですけど、めっちゃ丁寧に手間をかけて作られている帯、お値段もそうなりますよね。
到底手が出ないことに変わりはないんですけど、これは商品としては決してお高いものではない、ということが少しわかりました。
それにしても可愛い。
絵じゃなくて押し花ってところがポイントですよねチョー心踊りますよね。
いつか欲しい・・・いやほんといつかね。
思いきって飛び込んでみてよかった
ということでね、生まれてはじめて”反物をあてる”っていう経験をしてきました。
いやーもー、お店には悪いですけど、
超楽しかった!
あのー、反物って一本の巻物じゃないですか。
あれが、あれよあれよと言う間に”着てる風”になるのがすごかったです!(小学生の感想)
あとね、自分で言うのもなんですけど、けっこう似合ってた(笑)。
こういうのも結局、実地経験というか、実際あててみて着てみないとわからないんですよね。
わたし齢は三十代後半、いい歳したおばさんですけど、やっぱり「呉服屋さんの畳コーナー」って怖いです。
買わされるかも、とか、そういう怖さもあるっちゃあるんですけど、なんていうか、「着物」という敷居が高い文化の中で、自分のことをいろいろとジャッジされそうなお店に入って、知らない・わからない世界の中でやりとりしないといけない、要はアウェー空間なんですよねあそこって。
でもね、おかげさまでこちらのお店では、卒園式着物の相談に乗っていただき店員さんと顔見知りになれて、こういう機会をいただけて、そしてなによりみなさんとっても優しいんです。
わたしなんか、見た目からして絶対買わない客なんですよ。
しかも自分ちの着物持ち込んで相談に乗ってくださーいっつって、無料相談会をカチコミに来るような常識知らずなわけですよ。
それでもいつも丁寧に対応してくださって、相談なんかもほんときちんと教えてくださって、それで今回こうやって、普通に暮らしていたら絶対に見れないようなものを見せていただいて、あてさせてもらって・・・
え、着物屋さんってめっちゃいい場所じゃん?
そらもちろんね、買うことが一番大事だし、お店側だってゆくゆくはそれを見据えているでしょう。
でも店員さんに「ごめんなさい、わたしは本当に買えないんです。だから申し訳ないです」と言うと「絶対に買ってくださいってことじゃないんですよ。これから長い月日をかけて楽しんでいただければいいし、今は目を肥やす時期だと思ってたくさん見ていって。観て、学んで、知識を増やして楽しんでいきましょう」と言ってくださったんです。
なに・・・
めっちゃいい人に出会えた・・・。
前も言いましたけど、もしなにかの手違いでわたしが裕福になるようなことがあれば、絶対にここでつくりたい。
そんなふうに思うんですよね。本当にありがたい話です。
はーーーーーー
地道に着物貯金しよ。笑


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